日本には卵子提供の法律がない!?議論されている内容は?

日本には卵子提供の法律がない!?議論されている内容は?
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アメリカでの卵子提供といえば、一般的な不妊治療の方法として認知されています。しかし、日本で卵子提供から子供が生まれたケースは少なく、一般的な不妊治療の方法とは言えません。日本の不妊治療の現場で卵子提供が行われない理由には、法的な整備が整っていない点が関係しているといわれています。今回は、日本で卵子提供による不妊治療が行われない理由と問題点について解説します。

学会の自主的なルールはある

日本には卵子提供の法律がない!?議論されている内容は?
日本で卵子提供が行われていない理由として「法的な整備が進んでいない点」が挙げられます。

そもそも、卵子提供によって子供が生まれることには「倫理的な問題」や「卵子提供をした人と産んだ人はどちらが母親になるのか」などの問題が生じます。日本産婦人科学会は即時の判断で卵子提供にまつわるルールを定めていますが、法的な効力はなく統制を取るための力にはなりにくいのです。

卵子提供にまつわる取り決めとしては、厚生労働省審議会が2003年に発表した報告書なども挙げられます。厚生労働省審議局は、条件付きで卵子提供を認めており、報告書内では「出産をした人を母親にする」というルールを設けています。ただし、この取り決めは国会審議に至っていないため法的な統制力を持ちません。よって、法整備が行われていない日本で卵子提供により子供を出産すると「誰が母親なのか分からない」という状況に直面するということになります。

また、卵子提供に関する明確な法規制がないと卵子が商業目的で売買される可能性もあるのです。卵子の売買は、日本国内で行う卵子提供の倫理的な問題に火をつけてしまうことも想定できます。

ガイドラインに沿って行っているJISART

卵子提供に関する明確な法律がない日本では、卵子提供を行う各団体がガイドラインを作成しているケースもあります。JISARTもそんな団体の中のひとつです。JISARTは、不妊治療を専門とする病院が集まり結成された団体であり、ガイドラインに基づいた卵子提供を行っています。

2003年3月に団体を結成したJISARTは「安心と安全、満足を実感してもらえるような不妊治療を提供したい」という理念を掲げ、不妊に悩む人々に生殖医療を提供してきました。日本は、女性の社会進出により結婚の年齢が引きあがり高齢出産をする女性の人数が増えています。卵子は、女性の年齢と共に劣化することがわかっているため、自ずと不妊に悩む夫婦も増えてしまいました。

JISARTに加盟を希望する病院は、団体が儲けた認定基準をクリアする必要があります。認定基準は、部門審査と患者からのヒアリング審査に分かれており、審査に通過した病院がJISARTに加盟します。JISARTに加盟した病院は、団体が掲げる実施規定に基づき不妊治療を行うのです。実施規定の内容は、施設の設備に関するものや品質管理、患者への情報提供と対応方法など多岐に渡ります。

法律が制定されないのはどうして?

日本には卵子提供の法律がない!?議論されている内容は?
卵子提供による不妊治療を行った場合、成功率は高いです。アメリカの不妊治療の現場で、卵子の提供が盛んに行われていることが出産率の高さを物語っているといえるでしょう。日本で法律が制定されない理由のひとつとして「倫理的な問題」が挙げられます。「不妊に悩んでいるとはいえ、ほかの女性の卵子により子供を授かることは倫理的に正しいのか」など、議論では結論が出ない問題があるのです。

しかし「日本で卵子提供を行うにあたって倫理に関する問題はそれほど重要ではない」という意見もあります。なぜなら、日本の不妊治療の現場で卵子提供を得るケースは少ないものの、精子の提供を得て子供を作るケースは多いためです。日本で不妊治療のために女性が男性の精子を得て子供を授かる方法は、70年も前から開始していました。ただ、精子提供に関する明確な法規制はありません。そのため、精子提供によって不妊治療を行う場合の取り決めは病院や団体の裁量に任せられているのが実情と言えます。この事実により「遺伝的な繋がりを重視するか否かは本人とその家族に任せているという事実の表れだ」と考える意見もあるようです。

日本で卵子提供に関する法律が整備されない2つ目の理由として「技術的な問題」が挙げられます。実は、卵子提供により胚を作り胎内に着床させるには高度な技術が必要です。精子提供により受精を行う場合、女性の胎内に精子を流し込む「人工授精」と呼ばれる方法が用いられています。人工授精は高度な技術が必要な施術ではありません。卵子提供による治療は精子の提供を得て行う不妊治療よりも難しいため、卵子の提供による治療が発展しにくいという実情もあります。

議論されている内容は?

「卵子提供によって生まれた子供の親は、卵子を提供した女性と産んだ女性のどちらになるのか」という議論は、卵子提供による不妊治療が始まった当初から議論されています。厚生労働者審議会が発表した内容には「産んだ女性が母親である」という見解が示されていますが、法律ではないため問題は解決していないと言えます。

また「卵子提供によって産まれた子供が、卵子を提供した女性について知る権利はあるのか否か」なども、卵子提供による不妊治療の現場で長く議論されている課題です。2014年には、精子提供によって産まれた男性が生物学上の父親に関する情報開示を求めたところ、「資料が残っていない」という理由で拒否されたという事例もあります。これらの問題は議論を重ねても正しい答えを導き出すことが難しいとも言えます。「卵子・精子の提供によって産まれてきた人の意見を尊重すべき」という声もあり、問題は複雑化しています。

卵子提供の法整備が待たれる日本

女性の社会進出と晩婚化の影響により、高齢出産の事例が増えている日本。高齢出産のリスクは、子供に先天的な疾患が現れやすかったり流産をしやすくなったりするなどさまざまなものが考えられます。卵子提供による不妊治療であれば、これらのリスクを回避しながら妊娠の確立を高めることができます。卵子提供に関する日本の法整備に注目したいところです。ただし、卵子提供に頼りすぎるのもよくありません。まずは、妊娠に向けて自分が行動できることから始めていくのが望ましいでしょう。
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