多嚢胞性卵巣症候群って何?人工授精で妊娠できるの?

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不妊の原因のひとつとして、多嚢胞性卵巣症候群があります。自然妊娠で赤ちゃんを授かるのが難しく、不妊治療の対象となる症状です。不妊治療専門クリニックで検査をして見つかるケースも珍しくありません。今回は、多嚢胞性卵巣症候群にはどのような症状があるのか、治療方法や人工授精による妊娠は可能なのかどうかについて解説していきます。多嚢胞性卵巣症候群の原因と対処法を理解して、これからの不妊治療に役立てていきましょう。

多嚢胞性卵巣症候群とはどういうもの?

多嚢胞性卵巣症候群は英語でpolycystic ovary syn-dromeといい、その頭文字を取ってPCOSとも呼ばれています。排卵障害の一種で、排卵が起こりにくくなるのが主な症状です。通常、卵胞の中にいる卵細胞は卵巣で排卵される日を待っています。成熟して2センチくらいまで成長した卵細胞は、生理開始日から約14日後の排卵日に卵管へ飛び出し、精子がやってくるのを待ちます。多嚢胞性卵巣症候群になると卵巣内の卵細胞が一度に複数大きくなりますが、成熟できないので排卵が起きません。超音波エコー検査で卵巣を見ると、約1センチの卵胞が卵巣の外側にきれいに整列することから、ネックレスサインとも呼ばれています。多嚢胞性卵巣症候群の主な症状は複数あります。1つ目は、月経不順や無月経。排卵が起こりにくくなっているため生理がなかったり、生理までの期間が通常よりも長かったりする傾向にあります。2つ目はにきびや多毛など。多嚢胞性卵巣症候群の人は卵胞から男性ホルモンが分泌されており、血中の男性ホルモンが高くなっています。男性ホルモンが多いと体毛が濃くなったりにきびができやすかったりなど、男性によく見られる症状が出てきます。また、肥満の人は多嚢胞性卵巣症候群になりやすく、特に注意が必要です。体脂肪に男性ホルモンが貯蓄されること、血中のインスリン濃度が高くインスリン抵抗性によって排卵機能が低下していることなどが考えられます。

Concept image of medication.

多嚢胞性卵巣症候群の主な治療法は?

多嚢胞性卵巣症候群の詳しい原因はわかっておらず、症状を根治する治療法は残念ながらありません。しかし、内分泌異常や糖代謝異常との関連性が指摘されており、不妊の原因を一時的に解消したり生理周期を正常に戻したりなどの対処療法は確立されています。結婚しておらずとりあえず妊娠の希望がない場合は、正常な生理周期を人工的に作り出すカウフマン療法や、低用量ピルを使用したホルモン療法によって生理周期を整えます。妊娠を希望する人の場合は、排卵誘発剤を使用して排卵を促し、妊娠しやすい状態を作り出します。経口や注射によって排卵誘発を行いますが、多嚢胞性卵巣症候群の場合は卵巣過剰刺激症候群を引き起こしやすいリスクもあります。肥満傾向にある人は食生活と生活習慣を見直しつつ、減量を行います。さらに、肥満によるインスリン抵抗性がある場合は、糖尿病の治療薬であるグリコランを服用することもあります。人によってどの程度の治療をするかは個人差がありますが、経口薬のクロミフェン・クロミッドを服用すると、多嚢胞性卵巣症候群の約8割の女性は排卵が期待できます。ピルやホルモン療法で生理周期が整い排卵が起こるケースもありますので、まずは医師の適切な診察のもと、段階を追って治療を始めていきましょう。

多嚢胞性卵巣症候群でも妊娠は可能?

多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣の中で卵胞が成熟しきれずに排卵できない状態です。通常、成熟した卵胞は破裂して、卵細胞が卵管に飛び出していきます。同時に卵巣に残った卵胞は黄体となって黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜を厚くしていきます。もし卵子が精子と出会うことができなければ、排卵から約2週間後に子宮内膜は剥がれ落ちて生理が始まり、卵子と精子が受精して子宮内膜に着床すれば妊娠成立です。多嚢胞性卵巣症候群は卵巣の中に卵子がありますので、うまく成熟して排卵できれば妊娠も可能です。多嚢胞性卵巣症候群の軽重度は個人差が大きく、ホルモン療法で正常な生理周期を作り出すことができれば、自然妊娠やタイミング療法による妊娠もできます。排卵誘発剤による排卵日の予測が立てば、人工授精による妊娠も成立します。多嚢胞性卵巣症候群と診察されると最初はショックかもしれません。しかし、多嚢胞性卵巣症候群の場合は卵細胞は存在しているので、妊娠ができないわけではありません。まずは、検査によってどの程度の軽重度なのかを確認することが大切です。症状に合わせた治療を行い、ときには食生活の改善や運動習慣を見直しながら、一歩ずつ治療をしていきましょう。

多嚢胞性卵巣症候群の人工授精の流れは?

人工授精の一般的な流れは、排卵日の予測、排卵日に合わせての人工授精、妊娠判定となります。多嚢胞性卵巣症候群は排卵ができない排卵障害ですので、排卵誘発剤を使って排卵を促します。多嚢胞性卵巣症候群の原因のうち、内分泌異常の場合は排卵障害の軽度から中度と考えられており、クロミフェンやシクロフェニルなどを服用することで卵巣刺激ホルモンの分泌を促していきます。注射よりも副作用が少なく、通院回数も少ないのがメリットです。排卵障害が重度の場合は、ゴナドトロピン製剤による注射剤を使って排卵を誘発します。内服薬よりも効果が期待できるぶん、卵巣過剰刺激症候群や多発排卵による多胎妊娠のリスクがあり、医師の慎重な診断が重要になってきます。排卵誘発剤の使用で排卵日の予測が立ったら、いよいよ人工授精の実施です。人工授精が終わると約2週間後に妊娠判定となりますが、それまでの間に確実に排卵があったかどうかを確認する排卵チェックや、着床の確実性を上げるために黄体ホルモンを補充する場合もあります。まれに、人工授精による出血や感染などの副作用が出る場合もあるので、病院によっては感染予防の抗菌剤を服用するケースもみられます。人工授精から妊娠判定までは行動の制限は特にありませんので、楽な気持ちで日常生活を送るようにしましょう。

多嚢胞性卵巣症候群は体外受精の妊娠確率のほうが高い

多嚢胞性卵巣症候群でも、適切な対処療法ができれば人工授精での妊娠は可能です。排卵が困難なだけで、卵胞自体はたくさんありますので、妊娠できないと悩みすぎる必要はありません。ただし、症状が重度の場合や、排卵誘発剤による副作用が過剰に出てしまう場合は、人工授精は難しくなります。人工授精の次のステップ、体外受精では、数ある卵子の中から質の良い卵子の選定が可能です。ときには体外受精を選んだほうがメリットは大きいということも、ぜひ覚えておきましょう。
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